FFⅫ ザ ゾディアック エイジ 60fpsで征くイヴァリース紀行 #11(完結)

FF12 TZA バッシュとガブラス

13年ぶりのFFⅫ、無事クリアできました。いや〜楽しかった…けど、色々と思うところもあったのでそれらを書いていこうと思います。

アニキ〜!

ゲーム終盤はヴェインとラーサー、そしてバッシュとガブラスという兄弟の確執というか方向性の違いをフォーカスした展開ですね。中でもガブラスは不器用な人間なんですけど、それを理解したうえで気持ちを受け止め、ボコった挙句、「生きて償うんだな」と諭すバッシュニキすこ。

FF12 TZA ヴェイン

ヴェインとラーサーのやりとりも面白いですね。戦争を始める兄を止めるためラーサーはヴェインに刃を向けるわけですが、「ならばお前も死ねい!」というわけではなく、戦いが始まるとガブラスに「ラーサーを守れ」と、ソリドール家存続のためにラーサーを保護するよう命令するところがなんかしんみりくるというか。人工破魔石でもはや人間ではなくなった自分よりも、ラーサーにソリドール家を継いでいって欲しいという想いですかね。このちょっと泥臭い兄弟愛的な話はもっと見てみたかったなぁって気はします(初期開発段階ではバッシュが主人公だったらしいですが)。

FF12 TZA 不滅なるもの

ラスボス戦はバッシュにデコイをかけつつ、バッシュの連撃とパンネロたんのフレアー連発で特に苦労することもなく撃破できました。面倒なのは物理と魔法を完全無効化する「完全防御」ぐらいでしょうか。文字通り完全防御されますからね…もうその間は耐え難きを耐えるしかないという。アレイズを使うなどといった無効時間を短縮させる方法なんて13年ぶりだから忘れてましたよ、もう。

正直なところこの完全防御という単に尺稼ぎみたいな技を使われるぐらいなら、HPを30万ぐらい増やしてタフにしてくれた方がまだマシかなと感じます。物理無効と魔法無効が交互に入れ替わるとかならまだそれに合わせて攻撃方法を変えるだけで済みますが、どちらも無効てwなんだかな〜と。変にストレスがたまる仕様はもう勘弁ッス。

ゲーム全体を通しての感想

FF12 TZA エンディング

Xbox One Xだと60fpsで動作するということで買ってみたわけですが、実に安定してフレームレートは保たれており、快適な動作を実現していたところは本当に良かったです。ライセンスリセットの機能も実装されたおかげで後からいくらでもジョブを変えて再編成できるため、キャラメイクの心配事が解消されたのも大きいと思います。

それと倍速モードでサクサク狩れるというのも大きい。個人的には2倍速モードでちょうどいいというか、現代基準的なスピード感なのかなと。4倍だと速すぎて戦闘の流れが把握できなくなりますが、固定ポイントでのチェイン稼ぎやレアアイテム狙いの作業には4倍速がいいのかな。たまに通常モードに戻すと「よく昔はこんなスピードで遊べたものだな…」と感心しますwそのぐらい倍速モードは便利で快適、とても良い機能だと思いました。

ただ一方で昔の仕様通りとはいえ不便だなぁと感じる部分もありますな。ゲートクリスタルとテレポストーンの仕様がそれです。現代でいうファストトラベルみたいなものですが飛べる場所はかなり限定されて決まっているし、利用するのにテレポストーンを消費するという…。これはもう単純に不便、としか感じませんでした。まぁそんなやたらめったら消費するようなものでもないし、中盤以降は買えるとはいえ、現代の感覚でいうと不便な要素だよなぁ、というのは最後まで拭えませんでした。でも大きな不満点はそのぐらいかな。

FFⅫ TZA バッシュ

改めてストーリーを一通り見て感じたのは、(公には)主人公であるはずのヴァンに、ドラマティックな成長シーンがないところがキャラとして弱いのかなと感じました。例えば松野組制作のFFとしては他にもFFTがあるわけですが、その主人公であるラムザは徹底した現実主義者であるガフガリオンとの対立や反貴族主義の理想を捨てて神殿騎士に鞍替えしたウィーグラフらとの戦いの中で、現実論と挫折、そして(難易度的な)敗北を味わいながら精神的な成長を遂げるという物語が描かれており、それがプレイヤーの感情移入の器にもなっていたと思います。

ですがヴァンの場合は帝国との戦争で兄を失い、帝国に憎しみを抱いて王宮に盗みに入るというところまではそれらしい行動でよかったんですが、その後ラーサーと出会って仲良くなってなんとなく物事を悟るという、わりとあっさりした過程で成長しちゃうんですよね。ラーサーと出会うことで「帝国の人間も悪い奴らばかりじゃないんだ」と見識が広がるのも悪くないんですが、理想と現実のギャップに苦しむことになるラムザに比べると成長過程の描き方が物足りないところがヴァンのキャラ性を弱く印象付ける原因かなぁ…と思ったところはありますね。

開発初期はバッシュが主役だったけど社内政治で案が却下されたとか以前松野さんが語っていたような…まぁもしバッシュが主役のままでゲームが作られたらどうなっていたんだろうかという興味はあります。最終的にバッシュがガブラスに代わってラーサーを護衛するというオチは同じだったかもしれないけど、全体的にはまた違ったものになっていたのかもなぁ。う〜ん、なぜ全盛期の松野さんの好きなようにストーリーを作らせなかったのか、残念ですな。

…と、改めて遊んでみると色々と思うところはあるのですが、ガンビットの採用でコマンド選択RPGから脱却した作りになっているとか、そういうところはやっぱり今遊んでも面白かったです。そのせいかFFシリーズの中では特異な存在になっている感もありますし、実際好き嫌いが分かれるFFじゃないかとも思いますが、僕はだからこそ好きかなっていうのはありますね。開発中松野さんがファイブスター物語の原作者である永野護さんとの対談で、「僕らが作るFFはヤバくなるかもしれません」と語っていたのも納得というか、シリーズの中でも異色なデキになるのは意図して狙っていたと思われます。やっぱりそういう意味であの頃の松野さんは凄かったんだなって…途中降板せずに最後の最後まで手を入れてくれてたらさらに良かったんですけどね。

元がPS2時代のゲームなのでグラフィックはさすがに現代のゲームに比べるとかなり荒い気もしますが、あの時代にここまで作り込んだスゴ味は今でも感じます。倍速モードでサクサク進めることもできますので、昔遊んだけど投げてしまった人や、遊んだことがないって人も新機能を実装したXbox OneもしくはSwitch版でぜひ挑戦していただきたいなと思います。

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