少女革命ウテナを見る #02

本日までニコニコで無料配信の「少女革命ウテナ」、徹夜しながら最終話までなんとか完走しました。いや〜これは名作ですな（白目）。

アスパラ事件

物語の全体的な感想としては1997年当時夕方に放送していたテレビアニメとしてはちょっと大人すぎる内容だな、と。「ちゃお」という小学生向け少女漫画雑誌に連載されていたコミック版とは大きく内容が違うらしいですが、それにしてもびっくりしたんじゃないですかね、当時の小学生は。いや、びっくりしたというよりは、理解できなかった可能性も…「ちゃお」よりは「花とゆめ」とか「LaLa」で連載されるような漫画かなという印象なのですが、それにしても心えぐるようなエゲツないエピソードが多く（特に黒薔薇編、鳳暁生編）、少なくとも小学生向けの漫画・アニメではないな、という感想です。それだけに大人になってから見返すと作品テーマの深さに驚かされるアニメ、と言えるかもしれません。

まぁ前半の「生徒会編」はシリアスとギャグが交互にくる感じでバランスが良かったのですが、中盤の黒薔薇編からは個々の闇を描いたり、倒錯した兄妹愛を描いたりと、「制作側は視聴者にトラウマ植え付けようとしてきてるのか？」ってところが残酷ながらも面白く、夢中で見ちゃいました。

中でも個人的には若葉にスポットライトを当てたエピソードが好きですね。学園を追放された憧れの西園寺を密かにかくまって尽くに尽くしたのに、西園寺の口から出た言葉は「アンシーは元気か？」の一言。

「私がこんなに尽くしているのにあの人の心はずっとアンシーだけ。なんであんな女に…！」

西園寺がふと漏らした一言で若葉は闇に堕ち、心の奥底で必死に隠していた嫉妬と劣等感が爆発、ウテナとアンシーに決闘を挑む…あまりにドス黒すぎて大草原不可避状態でしたよ…（憔悴）。そんでもって戦いに敗れたあと、西園寺が消え誰もいなくなった部屋に戻ってきたときのあの台詞。思わず「はぁ〜…」ってクソデカため息も出ますよ、そりゃあ…。

でもまだこれは序の口でしたね。少女革命ウテナの真の恐怖はそのあとの「暁生（あきお）編」にありました。

まぁぶっちゃけるとこいつがラスボスなんですが、ホントとんでもないヤツで。なぜか登場するたびに服がはだけてたりしてそもそもビジュアルからしてヤバいんですが、その見た目通り性格もヤバいという。

最初はコメントで「オルガ！？」とか、「何やってんだよ団長！？」とかあるのを見て僕もゲラゲラ笑っていたのですが(確かに似ているし）、次第に明かされるそのやり口にだんだんと恐怖を感じてきまして…許嫁がいるのにそこらへんの女に手を出すわ、さらに許嫁の母親にまで手を出すわ、挙げ句の果てに妹であるアンシーとまであれやこれやとヤッちゃうわ、というかこれ、男ともいたしてませんか？的なシーンがあったりもうめちゃくちゃ。

そして33話の「夜を走る王子」ですよ。この回、大部分は総集編なんですが最後に暁生がウテナの薔薇を散らせてしまうシーンがあり、私の精神は一度ここで崩壊しかけました。ウテナの台詞にある「明日の弁当のアスパラがどうのこうの」って…ようするに暁生のアレをアスパラに喩えたメタファー的な何か？みたいな（ゲス顔）。確かにアスパラは長くて硬いですからね！しかもこのときの声優さんの演技ってのがまた…( ´Д`)y━･~~

これを境に「女の子」から「オンナ」に変わり、その後も暁生が出てくるたびにメスの顔に変わってしまうウテナにはさすがに心をかき乱されましたよ、ええ。こんなん…トラウマになるのも無理ないッス。そしてついたあだ名が「暁生メンバー」って…思い出すとやっぱつれぇわ…。

ですがこのアニメの恐ろしいところはそこからの突き落とし方ですね。ウテナが暁生とアンシーがいたしている現場を目撃し愛と嫌悪感を抱く。容赦ね〜wっていう。でも暁生に許嫁がいるのを知っていながら体を許してしまった自分も人のこと言えないよね、みたいな。最後の2話の修羅場は良かったですな、色んな意味で。

それでもなおウテナがアンシーを助けようと必死になったのは、友情を超えたアガペーなんでしょうかね…。ラストシーンで暁生を見捨てて自立し、ウテナを捜しに旅立つアンシーの凛々しさがなんとも心地よく…しかし過程が過程なだけになんかモヤモヤ感も残る、そんなフクザツな気持ちを抱かせてくれる最終回でした。

はぁ〜…まぁ、「お前は一体何を言っているんだ？」とか思う人もいるかもしれませんけど、とにかく僕の中で「少女革命ウテナ」はそういうアニメーションでした、という感想を、思ったままに書き殴ってみました。まだ見ていない方も、一度騙されたと思って見ていただきたい、そんなアニメですね。

それにしても…ウテナ役の川上とも子さんが若くして亡くなられたことが惜しまれます…。