中津賢也新作「桃色スレイマン」を読んだ

本日Kindleで発売された中津賢也先生の最新作「桃色スレイマン」を読みました。

桃色サバスの続編？

まず桃色スレイマンの感想を書く前に僕が中津先生のことを知ることになったきっかけについて触れておこうと思います。

まだ高校生の頃だったのですが、中津先生の漫画を知ったのはコンビニでなんとなくヤングキングを手に取ってパラパラと眺めたことがきっかけでした。ヤングキングを読むこと自体このとき初めてで、そもそもなぜその時ヤングキングを手に取ってしまったのかその理由も今や忘れてしまいましたが、当時ヤングキング誌上で連載されていた中津先生の「桃色サバス」という漫画が目に飛び込んできて、なんか面白そうという理由でそのままレジに向かい、夢中で読んでハマってしまい、次の日には本屋に単行本を買いに行ったことは覚えています。あと同時期連載されていた五十嵐浩一先生の「めいわく荘の人々」もとても面白くて、ヤングキングではこの2作品のコミックスは買っていましたねぇ。

その後1997年に桃色サバスは連載が終了し、しばらくして「妖怪仕置人」という漫画を中津先生はスタート。この作品についてもコミックを最後まで買いましたが（連載は2001年まで）、それを最後に中津先生の漫画を読むことは今日までなかった、というのがこれまでの経緯となります。

妖怪仕置人から20年以上もの時間が経ち、僕もすっかり中津先生のことを忘れかけていたのですが、昨年ぐらいからTwitter上で中津先生の奥様である浜田翔子先生が「作家活動を再開しています」とツイートしていたため、それならば新作を買ってみようと思い、ようやく念願叶って桃色スレイマンに至る、という形ですね。いや〜長かったなぁ。

で、現在この漫画はホラーシルキーというウェブマガジンにて連載されているとのことですが、僕はKindleで単品購入しました。価格は110円です。

物語のあらすじと今後の予想

漫画の冒頭は私立大崩学園中等部に武々山涅冬（ぶぶやまねふゆ）という新任教師がやってきたところからスタート。学校を見た武々山が「この少子化の世の中で〜」と言っているあたり、舞台設定は令和の現代に合わせているっぽいですね。そして武々山は担当することになったクラスで魔道珠衣（まどうたまえ）という、様々な悪魔の力を行使する女子生徒と出会う…というのが1話の内容です。

この1話では魔道という苗字、そして武々山が「むかし魔道って名前のお宅に居候したことがあってね」という台詞を言ったり（子供だったブブのこと？）、さらに「ベルゼビュートの血縁」というキーワードも飛び出しているあたり、ベルゼビュートの魂の一部を持って生まれた魔道玉吉が主役である桃色サバスの続編、もしくはそれに近い設定の物語っぽいですね。まだ1話なのでキャラの掘り下げはそれほどされていないし、明確に続編だと言い切っているわけではないにしても、匂わせているところがあるのは確かです。

1話は43ページというボリュームでコメディ的なシーンと武々山と珠衣、どちらも悪魔の力を使ったバトルシーンもありと、バランスよく構成されていて中津先生らしさは健在といった感じ。何より絵自体が昔とそれほど変わっていないことに驚きました。珠衣（表紙の女の子）に関しては中学生ということもあってか意識して幼く描かれていると思われますが、成人男性である武々山は桃色サバスや妖怪仕置人の頃とそのままなタッチで安心感があります。「昔の絵はこうじゃなかったんだけどな」という感じがない。良い意味で20年前と変わらないところは、僕はプラスと捉えました。

なぜ魔道珠衣が複数の悪魔の力を行使できるのかは不明ですが魔道の苗字を持つあたり、もしかしたら魔道玉吉の血縁者…というか、子供なのかなぁなんて気もしなくはないですね。また武々山は不良デーモン狩りをするという裏家業もやるらしいので、桃色サバス+妖怪仕置人のハイブリッド漫画になる可能性もちょっと感じます。

タイトルに「桃色」と付けてきた以上はやっぱり桃色サバスと何らかの関連性があるとは思いますが、成長した旧作のキャラたちが出てくるのかどうか含めて僕は今後が非常に楽しみです。中津先生らしさはこの令和の時代も健在という感触も受けましたので、この調子でどんどんギアを上げていってもらいたいところ。それこそ桃色サバスにあった「イーピン・ゴッド」のような麻雀エピソードを突然織り交ぜてくるカオスな展開にも期待したいというか。あとモアイ顔の教師が出てきたりとか、ああいうセンスこそが中津節なんじゃないかと自分は感じていますので、この桃色スレイマン、僕も可能な限りこれから追って行ってみたいと思います。

ともかく中津賢也先生、活動再開と復帰、おめでとうございます。